japan craftmanship

まず育てる。

私たちの仕事は、一枝の「柳」の栽培から始まります。ヤナギ科の落葉低木「コリヤナギ」特に秋頃、風にしなやかに揺れるその姿は、強く、美しい。放っておいても育つ力のある植物だが、あえて手をかけ土をならす。四季とともに育てます。積雪に耐えた柳を収穫し、一本一本、皮を剥ぐ。手触りと質を確かめながら、「材料」と成す。

そして編む。

作るものに合わせて材料を選別。数時間ほど浸水し、編み始める。自らと 柳と 時間をかけて向き合います。手足を 頭を ひたすらに動かすと見えてくる景色は、理にかなった編み目の密度と美しさ。それは使うほどに手になじみ、眺めるほど暮らしに息づく。栽培から製作まで、すべての工程に手間と時間を注ぐのはひとつの想いから。本物の手仕事だけが生み出せる、深く確かな美しさを求めたい。

1300 years old

柳行李 と 豊岡杞柳細工
奈良県・正倉院に納められているこの国の宝物のひとつに、小さな丸い柳行李があります。約千三百年ほど前に但馬地方で製作されたであろう情報が証明されています。(天日槍の尊により伝来されたという神話を含めると二千年の歴史ともいわれます)

柳行李は、ヤナギ科の落葉低木「コリヤナギ」を麻糸と編み込み、しっかりとした密度と強度を持つ箱です。区分としては木工などにあたります。古くは湯屋の脱衣かご、飛脚の荷物箱、反物や書物の収納、弁当箱など、日常のあらゆるシーンで活躍する道具として人々の生活に溶け込んでいました。

大正〜昭和初期には、コリヤナギを縦割りにし、薄く割いたテープ状の材料へ加工して製作される、デザイン性豊かな籠や箱などの多様な製品が作られるようになりました。輸入ラタン(籐)の併用も始まり、総称として「杞柳製品」と呼ばれるようになります。平成期では経済産業大臣指定、つまり国の伝統的工芸品として認定され、正式名称は豊岡杞柳細工となりました。

かつては豊岡から全国、そして世界へと流通した技術。それは但馬地方の一大産業であり、職人や商人を含めおよそ1万人規模で支えられていました。

new things from the past

柳行李の制作に必要なその技術は、かつての人々の営みに寄り添い、日々の暮らしに輪郭を与えてきました。私たちは、この土着のDNAといえる ものづくりの精神を継承し、現代的かつ真に一貫性のある観点で向き合います。

千年以上続く柳行李の歴史の「現在」を示し、「未来」へつなぎます。 伝統は守るだけでなく、さらに築き上げてゆくべき文化である。工芸は過去の遺産でなく、常に若々しく 今を生きる人たちに求められるべき手仕事である。

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